漫画、リューシカ・リューシカ、辻真先さん、5月29日、中日新聞より

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十年あまり前、ワンクールでひっそり終わった「灰羽連盟」は、優れたテレビアニメの幻想詩であった。ぼくがそれまでに見たどんなファンタジーとも違う一種異様な魅力をたたえていた。冒頭、高い空から落ちた少女は繭の中で目覚めて、灰色の羽と頭上に光輪を得る。穏やかに眠っているようなグリの街は、人々がいっとき生と死のあわいを過ごす舞台らしく思われてきた。

セピア調の黄昏の世界を、原作・脚本の安倍吉俊はユニークに描いた。推理作家でアニメ愛好家の小森健太朗は、近著「神、さもなくば残念。-2000年代アニメ思想批評」(作品社刊)でこの作品を、今世紀最初の五年間のベストアニメと位置付けている。