画面に身を乗り出すようにして見入ってしまった

http://wa.tea-nifty.com/lie_luck/2010/10/blu-ray-box-7ca.html

絵から伝わる世界観と前評判に惹かれていざ冒険。
面白かった。5話くらいまでは専ら絵と音楽と設定が描き出す世界観に浸るばかりで、肝心のストーリーにはじっくりと外堀を埋めているだけのような感じをおぼえて少しもどかしかったのだけど、そこから先はじわじわと色んなものを絡めながら急速に濃くなっていったおかげで、最終的には画面に身を乗り出すようにして見入ってしまった。「灰羽」そのものについての疑問が提示されるあたりから真骨頂。ラッカが自分自身のルーツを探りつつ、仲間との連帯と別れを通して、レキの魂の救済を見出そうとするあたりでそれまでのあれこれが全部まとめて急激に胸に迫ってきた。そしてついに「助けて」と言えたレキに涙。切ないけど、それ以上に優しく温かい物語だと思う。いいなぁ。
それなりに前の作品だし、長じてそれなりに目が肥えたせいもあって、(もともと素朴なキャラクターデザインとはいえ)全体的な作画と動画は正直なところちょっとお粗末に見える。それでも、背景美術と色彩設計の素晴らしさでそれを帳消しにしてあるあたりには素直に感嘆。透明感溢れる音楽も相まって、画面のそこかしこから醸し出される雰囲気の美しいこと。これは長く楽しめそう。